「あんなおばさんでもさ……ウエディングドレスを着せてあげたいんだ。俺の実の父親の時も……色々あったらしくて式してないからさ」
お兄ちゃんは、久美子さんの事が本当に好きなんだね。
そして、お父さんの事も。
「あたしは……反対なんてしませんよ?」
「そっか、ありがとう。それでさ……細やかな身内だけの式をするつもりなんだけど、花乃ちゃんも出てくれないかな?」
「あたしが行って……いいんでしょうか?」
だって、あたしは連れ子ですらなくて、もう法律上はお父さんの子どもでは無い筈……?
よく分からないけれど、あたしが月守の姓にあるって事は、たぶん親権はおばあ様にでも移ってるんだと思う。
自分の事なのによく知らないけど……
「花乃ちゃんが出てくれたらさ、二人ともすっごく喜ぶと思うんだ。この通りです、お願いします!」
突然畳に両手をついて、擦り付けんばかりに頭を下げた克彦お兄ちゃんを見て慌てるあたしと、平然と見下ろす那月さん。
「あっ、頭上げて下さい!出ますから!」
「本当に!?ありがとー!」
ガバッと起き上がって、あたしの両手を握る克彦お兄ちゃんの頭に、那月さんの拳骨が振り下ろされた。
「つぅ……いったい!暴力反対!」
「貴方が花乃の手を離さないのなら、今度は本気で殺りますけど?」
まだ離して無かった手は、那月さんの言葉であっという間に離れていった。
那月さん、やるの文字がかなり物騒な漢字では?
「私も参列して良いのなら、花乃が行く事を許可しましょう」
どうやら、那月さんの許可がいるみたい……
