花色の月


「さて、中身はなんでしょうね」


目の前に蛙が飛び出しても、瞬き一つしなかった那月さんが、また段ボールの中を覗いた。

……知花さまって……小学生?



「手紙と……浴衣です」


「浴衣?」


中から出てきたのは、二人分の浴衣だった。

藍色の地に、白い花が染め抜かれた、とても素敵な浴衣。




『花乃ちゃんとなっちゃんへ。

花乃ちゃん、蛙に驚いてくれましたか?
なっちゃんは、どうせ眉毛一つ動かさないんだろうな……と思いながら仕掛けました。
なっちゃんだけで開けてたら、かなり残念です。

さて、それはさておき…
実は知り合いに頼んで、くちなしの浴衣を作って貰いました。

だってどこにも売ってねぇんだもん。

二人でこれを着て、夏祭りを楽しんで下さい。

てか、俺らも行くけどねぇ。
でも、着付けとか有るから先に送っときます。

一応花乃ちゃんのは桜介から、なっちゃんのは俺からって事で。

俺らも揃いの浴衣を着る予定です。

では、夏祭りで会いましょう!』



知花さまの字は、これを書いている時の、楽しそうないたずらっぽい笑顔を想像させてくれる。


……蛙は、あたし宛って事ね。