花色の月


「ねぇねぇ、そろそろこれほどいてちょー?」



何でしょう。あの不愉快になるくらい能天気な声は。

あのまま一晩放置すれば、大人しくなりますかね?



「ひゃあっ!?」


悪いことを考える私を他所に、人が転がっている事に遅ればせながら気が付いた花乃が驚いて声をあげている。

驚いた声も可愛いですね。

折角これから花乃を美味しく頂こうとしてたのに、この無粋な生き物をどう始末したらいいでしょう。



「あっ、花乃!」



縛られているのをほどこうと、突っ掛けを履いて不審者に近寄る花乃を、慌てて裸足で追い掛けた。

チッ、今お風呂に入った所なんですけどね。



「花乃、汚れるので触ってはいけません」


「えっ……?でも……」


「ちょっとちょっと、折角来たのに冷たいねー?予想通りだけどさ」



転がっている不審者から花乃を遠ざけて、踏み潰してやろうかと近付いた。



「あんれ?如月なんでそんな色っぽい格好な訳?それ以上近付くと覗いちゃうぞー!」



そう言えば、まだバスタオル一枚でした。
しかし、見られて恥ずかしい体でも無いですし、顔を踏みつければ見えないですよね。



「き、如月!踏むのはいかーん!」


「な、那月さん?」


「何ですか?」



花乃はいつでも可愛いですね。



「なんで、……お兄ちゃんが縛られて転がってるの?」