困ったように瞳を揺らす花乃を、ゆっくりと畳の上に押し倒した。
いい眺めですね。
そのまま、かわいい口の中を掻き回していた指を引き抜いて、見せ付けるように嘗め上げる。
真っ赤になって顔を背けた花乃は、耳やうなじまで赤く染まっていて更に私を煽っていく。
「お、お風呂に入ってきますっ!」
甘い空気を打ち破って立ち上がると、そのまま走ってお風呂に行ってしまった。
おや、お預けを食らってしまいましたね。
勿論、私も入りますけど。
「な、那月さんはさっき入ったでしょ!」
「花乃の髪を洗おうと思いまして」
「……えと……」
花乃が私に髪を洗われるのが好きなのは知ってますからね。
迷ってる花乃を抱きすくめて、薄桃色の石鹸を泡立てる。
ほのかに香るのは、見掛けの通り桃の香りで、花乃を更に美味しく出来るんです。
「ねぇ……なんで途中からこの石鹸になったの……?」
「はい?」
「前は……ただの白い石鹸だったのに……」
おや?居もしない人間に焼きもちを妬いているんですか?可愛いですね。
「言いたかないですが、十夢のおすすめです」
「知花さま!?」
「輸入雑貨なんかも取扱い出したらしいんですが、しっかり営業されてしまいました」
あの見掛けでそんな可愛い物をどこで見付けてくるのかは知りませんが、くちなしの香りと混ざるとまた良いんだと売り付けられてしまいました。
まぁ、あのちっさな瑠璃さんもお気に入りらしいですが。
