「…頑張ったのに……」
「普段は嫌がるじゃないですか。日が出てると」
「…もう良いもん」
クルッと後ろを向いてしまった背中は、さっきより酔いが覚めているのに、頑張ってくれていたんだと教えてくれた。
「花乃……手加減出来ないと思いますけど、良いですか?」
「……もうダメです。有効期限切れです……」
プイッと顔を背けて、そんな事を言う花乃が、可愛くてたまらない。
膝を抱えて座る花乃を、後ろから包み込むように抱き締めた。
「花乃、愛してます」
「…那月さんはズルい」
仕方ないじゃないですか、愛を囁くとそれだけで体温が上がった花乃の華奢な体をキツく抱き締めた。
それに、心からの愛の言葉をズルいなんて言う悪い子には、お仕置きが必要ですよね?
「花乃、お風呂に入りますか?」
いつもは、お風呂に入る時も明かりは暗めになっている。
まぁ、ランタンじゃ蝋燭の火ですから、ゆらゆら揺れますしね。
それを敢えて、お日様のまだ高い今のうちに連れ込んでみたら、どんな顔をしてくれるのかと……純粋な興味ですね。
勿論、不純な気持ちも有りますし、蝋燭の明かりでも隅から隅まで見える視力は持ってるんですけど。
「もう……ダメだもん……」
頬を染めて有効期限切れを主張する花乃の首筋に顔を埋めた。
ペロリと舌を這わすと、腕の中の体がピクリと跳ねる。
吐息を漏らすまいとつぐんでいる口に、無理矢理指を要れた。
花乃が仕事道具でもある聞き手の指を、強くは噛まないのを知っていて、そんな事をする私は意地が悪いんでしょうね。
「花乃、このまま食べちゃっても良いんですか?私はそれでも構わないんですが……」
