「那月さん……どしたの?」
直ぐ後ろまで来ていた花乃に気が付かないなんて、相当動揺しているんですね。
「……花乃が可愛すぎるので、困ってるんですよ」
「ねぇ、何を食べたらそんなにかっこよくなるの?」
話に脈絡がありませんね。
それに、食べ物によって、そんなに顔って変わるものなんでしょうか?
いきなり腰の辺りに抱き付いてきた花乃は、私の顔を見上げてフワッと笑顔になった。
「花乃……」
分かりました。
なんでこんなに今の花乃を抱く事に抵抗があるのか。
どんなに色っぽくても、どこかあどけない無垢な笑顔をするからですね。
ですが……あぁ……私の理性が……
「花乃、お腹空きませんか?」
「……あたしって、そんなに魅力ない…………?」
はい!?
話が噛み合ってない事より、泣き出しそうな顔をして聞く言葉の内容に驚いた。
「だって……那月さん表情ひとつ変わんないもの……」
悲しげに視線を落としてしまった花乃の手を掴んで、自分の胸元に当ててみせた。
「……分かりますか?花乃が、あんまり可愛く誘惑してくるんで、理性が吹っ飛ぶ寸前なんです」
「どうしたら、吹っ飛ぶの……?」
えぇっとですね?
そんな可愛く唇をつき出したら、噛みつきたくなるじゃないですか……
