花色の月


「ねぇ、どぉしたの?」


そんな可愛らしく聞かないでくださいよ……
理性が崩壊しますから。

上目使いで、少しとろんとした瞳が、私を揺らがせている。



「花乃、少し寝ますか?」


「うん、ちょっと眠いの……那月さんも寝よ?」



どうやら墓穴を掘ったようです。

少し寝れば酔いが覚めるかもと思ったんですが……



「そんな事言ってると襲いますよ?」


「……いいよ?」



あぁっ!?なんなんですか!
私を手のひらの上で転がして遊んでるんですか!?


慌てる私を他所に、首を傾げて唇に人差し指を当てた花乃は、また爆弾を投下した。



「……ちゅーして?」


「か、花乃!?」


花乃が酔うとこんな破壊力があるなんて!
今まで知りませんでした……私はどうしたら?

そう言えば、花乃とお酒を飲んだ事が無いと、今さら気付いても遅いですよね……

た、対処方が分かりません!

このまま抱いてしまってもいいんでしょうか?



ふんわりと微笑んでみせる花乃は、天使の皮を被った小悪魔に違いありません!