花色の月


「手先じゃなくて、生き方の方ですね」


枕に頭を埋めながら、切り傷だらけの手を見ていたのはバレていたみたい。



「…でも、知花さまも桜ちゃん居ないとダメダメだったよね……」


「そうですね。私が十夢に会った時には、既に桜介が隣に居ましたから、桜介無しの十夢はこないだが初めてでした」



くすりと笑いを漏らして、この小桜の間で魂が抜けたみたいになった知花さまを思い出している様だ。



「あの…誰にも聞けなかったんだけど、桜ちゃんと知花さまって一体いつから……?」


「十夢が自覚したのは割かし早かったと思いますよ。でもカミングアウトしたのは、桜介と旅に出掛けてかららしいです」


「那月さんは知ってたの?」


「そうですね。女好きな癖に、桜にと居る時が一番幸せそうにピンク色でしたから」



女好きは、女好きなのね…



「可哀想に、桜介は女を知る前に十夢に食べられちゃいましたからね」



なんか生々しくて……
想像しちゃいけない気がします……ね?



「那月さんは、沢山食べてたんですね?」