花色の月


「ぁ……れ?」


今、何時?
慌てて起き上がろうとすると、クラリと視界が揺れてまた布団に逆戻りしてしまった。

あら……これはやっちゃったみたい。


最近は体調管理も仕事の内と、倒れて寝込むことも無くなっていたのに、これでは仕事になりそうにない。

どうしようかと、布団の中で思案していると、静かに戸が開いて那月さんが入ってきた。



「おや?目が覚めましたか?」


熱を計る為だろう、あたしの額に置かれた手は少しひんやりしていた。



「……どこ行ってた……の……」



「顔を洗ってきただけですよ。さて、花乃は水分を取って着替えましょう」



あぁ、だから手が冷たかったんだ。

まぁ、あたしが熱を出してるからって事もあるだろうけど…



「那月さん…体調は……?」


「昨日の夜少しだけ熱がありましたけど、今はすっかり元気ですよ」



すごい回復力……

あたしにも、ちょっと分けてくれないかなぁ。



ぼんやりするあたしの脇で、那月さんはさっさと着替えを用意して、あたしの浴衣を……



「ちょ、ちょっと!」


「着替えないと気持ち悪いでしょう?
お湯も貰って来たので、体も拭きましょう」



……なんでそんなに嬉しそうなんですか。



「…自分でします」



あたしが自分でやると言った途端、那月さんの眉が悲しげに下がった。