花色の月


「なんかおかしい?」


手のひらの薬を眺めていると、怪訝そうな顔をした明美さんに言われてしまった。



「いえ、薬なんて何年ぶりかなと」


「何年も風邪引いてなかったん?えらい頑丈やな」


そうじゃ無いんですけどね、風邪を引いてもただ寝て治していたってだけなんですけどね。
……これを頑丈って言うでしょうか?


大人しく薬を飲む私を満足げに見ると、熱でポヤンとした花乃をさっさと布団にしまっている。

私は居てもいいんでしょうか?

看病されるほど悪くは無いですし、邪魔なら帰った方が…



「うちらは明日も仕事やし、そんな辛くないなら花乃の看病でもしたって」



「あっ、ありがとうございます!」



「でも、今は熱あるんやから大人しく寝とき?明日辛かったら纏めて看病したるしな」



明美さんは、また眠そうに目を擦って、光を促すと自室に帰って行った。

さて、流石に頑丈とは言え熱がある時はダルいんです。

一先ず寝ると致しましょう。


最初から二枚引かれていたお布団を無視して、花乃が寝ている隣に横になった。

ところが、ふんわり頬を染めて、熱のために熱い吐息が掛かると、寝るどころでは無くなってしまいました。



…これは、離れて寝るしか無いですね……


仕方なく隣の布団に移動して、花乃の手を握った。

せっかく隣に寝てるんですから、これくらいはしないと勿体ないですよね?