花色の月


「若女将を想うのは、今日限りでお仕舞いにします」


「……そうですか」


「驚かないんっすね?」



まぁ……花乃以外は、みんな気が付いていたんじゃないでしょうか。

あんな熱く、思いに溢れる瞳で、花乃を見ていたんですから。



「だから、貴方を頼るのは嫌だったんですよ」


「頼る?」


「……小野の時ですよ。それでも、咄嗟に動けるのは貴方だろうと、嫌々連絡したんです」



光は納得したように頷いている。

緊急事態でもなければ、光を頼るなんて事はしたくなかったんですけどね。



「……不安に、なったりはしなかったんすか?」


「花乃がモテるからですか?毎日気が気じゃないですよ」



いつ捨てられるんじゃないかって、怯えてる臆病な私を知ったら、花乃は幻滅するでしょうか?


いい加減逆上せそうになってきた私と光が、若干ふらつきながら脱衣場を出ると、廊下に置いてあるベンチに花乃と明美さんが座って待っていた。