花色の月


「なぁにしてるんすかぁ?早くしないと脱衣場がずぶ濡れになって怒られますよ」



曇りガラスの向こうから、いつもの話し方に戻った光の声がした。


えっと…もう既に水溜まりが……



「床は気にしねぇで。早く入らねぇと、また明美ちゃんに怒られちまいますよ」



武さんの声までする。

えっと…いいんでしょうか?



「俺に、服脱がせて欲しいんすか?」


ガラリと引き戸を開けて、顔だけ覗かせた光が、少し悪そうに笑っている。



「えっと……」


「まだ入ってないん?はよ入らんとまた打つで!」



あの、私が脱ぎかけてたらどうするつもりだったんですか?

遠慮なく暖簾を上げて笑っている明美さんを振り返ると、私の顔を見てまた噴き出している。



「……いいですかね……?」



「はよせんと、うちが脱がすで?」



「自分で脱ぎます!」