花色の月


夕闇が迫るなか、那月さんと手を繋いで歩く田舎道。

回りに人気が無くなった途端、那月さんの肩から力が抜けたのが分かった。



「花乃……幻滅しました…か?」


「えっ?」


「私は、一人で都会に行く事すら出来ないヘタレなんです。
昔、克彦と会った頃も気晴らしはしたいのに、一人で町まで行けなくて、いつも十夢や桜介を巻き込んでました」



気晴らしって、女遊びの事かしら?

聞きたいのに、それは言葉に出来なくて……ちょっと胸が痛くなった。



「あっ、毎回…その……女遊びしてた訳じゃ無いんです…よ?Barで飲むだけって事もよくありましたから」



「……あたしって、そんなに顔に出る?」



「すみません…」



「謝る事じゃないでしょ」



あたしだって、人に言えない事も沢山あるんだし……って思わないとめんどくさい女になりそうで嫌だった。


田舎の夜は暗い。

街灯もない細い道で、何となく立ち尽くしてしまったあたしを振り返る、那月さんの表情は見えない。



「……帰ろっか」



この道を曲がれば、月守旅館が見える。
そしたら、あたしは……