花色の月


そう、ちゃっかりそんな会話をして

お父さんは泣くし、お…お兄ちゃんはポケットからクラッカー出して騒ぐし、なんか酷い騒ぎになっていた。


お兄ちゃんって言葉にはまだ慣れないね。
それにしても…なんでクラッカーなんてポケットに入れてたんだろう……



「花乃の兄は桜介だけで十分です。
あんな馬鹿まで増えたら、私の分の花乃が減っちゃうじゃないですか」



真剣に変な事を言う那月さんを尻目に、今日撮った写真を眺めた。



「…新しい家族が、増えたって事だよね?」


「そうですね。花乃の発言がポジティブなのは喜ばしい限りです」



「ねぇ那月さん、那月さんはあたしにもずーっと敬語なの?」


「なんですか、突然」



突然でも無いんだよね…

ずっと思ってたけど、なかなか言い出せなかっただけなんだ。



「だって……切れた時と、よ…夜だけ敬語なしだから……」



普段は壁を作られてるかなって思っちゃう。

そうですなんて言われたら、立ち直れる気がしないから、ずっと言えないままだった。



「夜…?あぁ、ヤってる時の事ですか。
あれは…無意識ですからねぇ」



涼しい顔で露骨なお言葉。

なんか表情と言葉が合いませんよ?



「じゃあ、普段は……意識して敬語にしてるって事?」


「えっとですねぇ……
花乃は、今だに十夢の事を知花さまって呼ぶでしょう?なかなか変えられる物でもないでしょう?そんな感じですよ」


なんか誤魔化された気がするのは、あたしだけ?


「じゃあ、あたしが…十夢さんって呼んだら、敬語よすの?」



「それは絶対に駄目です!
十夢を喜ばしてどうするんですか!」