花色の月


「あれ?花乃ちゃんって如月のかわい子ちゃんだったの?」


「……えっ…?」


「これは奇遇だね?さて兄妹の抱擁でも……イテッ」



那月さんに頭を叩かれているのは、那月さん御用達?の美容院の店長さん。

ん?この会社の跡取りでしょ?
なんで美容師さんしてるのかな?



それにしても……世間って狭いんだね。



「こんないい子が妹なんて嬉しいなぁ!
あっ、これ俺の連絡先ね?お兄ちゃんって登録よろしくー!」


「頭も下半身も軽い男の連絡先等、窯で焚いてやりましょう」


えっと……この紙どうしましょうね?
しかも那月さん…下ネタ?

困ってるあたしを、何故か楽しそうに見ている……お兄さん。

だって名前を知らないから、お兄さんって呼ぶしかないもん。




「えっと……お、お兄さん?」



「……えっ?なにこの破壊力!もう理性がぶっ飛ぶ所だったよ?」



「意識をぶっ飛ばして差し上げましょうか?」



お洒落なハットごと、お兄さんの頭を鷲掴みした那月さんが、こわーい笑みを浮かべています……