花色の月


「花乃、明日克也さんに会いに行きましょう」


「…えぇっ!?明日!?」



一瞬何を言われているのか分からなくて、理解した途端怖じ気付いた。

だって……お父さんに会うの、小学校以来だよ?



「えぇ、遅く成れば成る程、行きにくくなると思いますからね。私もご挨拶したいですし、幸い明日はお休みですしね」


「…きゅ、急過ぎじゃ……」


「大丈夫ですよ。今から電話してみましょう」


「えぇっ!?」


で、電話すら3年ぶりくらいなのに…ハードル高い気が……

そんなあたしの手を握って、那月さんは優しく微笑んでくれた。



「電話は私がしましょうか?」


「………えっとね…連絡はしないで行っちゃダメ?」


「あぁ、サプライズも良いかも知れませんね」


ごめんなさい那月さん。
本当は連絡してなければ、土壇場で逃げられるかな?とか思ったからなんです…


心の中で懺悔するあたしの頭をそっと撫でてから、ニヤリと悪そうに笑って見せた。   




「土壇場で逃げるのは、断固阻止しますからね?」



はい、那月さんにはバレバレでした。

う~ん…もっとポーカーフェイス上手くならないと!



「花乃は、顔に出やすい方が良いですよ」


「………」



隠し事が出来なさ過ぎやしませんか?