花色の月


「こら、男と付き合った事もないような子に、なにセクハラしてくれちゃってんの」



言い方はキツくないけれど、ギリッと首を絞めている腕には血管が浮いている。



「ぐっ……」



「もうしないでよ?」



ゲホゲホ咳き込んでいるところを見ると、桜ちゃんはかなり本気で絞めていたようだ。



「…けほっ……妬いたの…か?」



「足りなかったみたいだね?」



「や、止めろって!死んじまう!」



「なぁに言っちゃってんの?
僕の力くらいじゃあ十夢が死ぬわけ無いでしょ?」



…なんか、あたしそっちのけでイチャイチャされてる気がするんだけど……



二人から視線を反らすと、自分の胸元を見詰めた。

…分かってるけど……




「ほら!花乃が落ち込んじゃったじゃないか!」



「いやぁ、素直な感想を…」



「そういや、やたらと発育の良い色っぽいのが好みだったっけ?」




痴話喧嘩は他所でやって欲しいなぁ…