「………そうですね」
本人が認めるってどんだけ激しくなる予定だったの?
この部屋が半壊、または全壊するとか?
心の中では賑やかなあたしは、相変わらず襦袢姿で練り香水の入れ物を握ったままへたりこんでいた。
「花乃ちゃん、流石に目の毒なんだが着てくれねぇかぁ?」
ポイッと放られた着物を、慌てて身に付けながら心の中で文句を言ってみる。
だって…どうせ香澄さんみたいなナイスバディじゃないから、どうとも思わないんでしょ?
「さぁて俺の仕事は終わったし、なっちゃんに酒でも奢って貰うかなぁ?」
「……あれを取っ捕まえに行きたいんですが」
「バーカ、行かせねぇよ。今頃別な部屋で反省会でもしてんだろ」
一先ず、おばあ様に事情を説明して来ようかな…
何となく那月さんに話し掛けづらくて、下を向いたまま部屋を出ようとした。
「花乃……」
「花乃ちゃん、たぶん明美ちゃんが大体の事は伝えに行ってるから大丈夫だぞぉ?」
あっ、明美ちゃん居たんだ…
「部屋の外で、なっちゃんの殺気に怯えて固まってたよ」
あれ?殺気を向けられていた小野先輩は兎も角、他の人にまで影響あったのかな?
キョトンとしたあたしの顔を見て、面白そうに知花さまが言った。
「へぇ、花乃ちゃんには効かねぇんだなぁ?」
何が効かないって言うんだろう……
なんだかよく分からなくて、ただ立ち止まってうつ向いていた。
だって那月さんを疑って、小野先輩を拒みもしなかったあたしは、もう那月さんの隣にいる資格は無いと思うから…
