花色の月


「…こちらです」



「おっ?」



あぁっ!?なんでそんなとこにっ?

お客様の座布団の上に、ぽってりと座っているのはふかふかの白い猫。



「モモっ!!」



「いいよいいよ、暇だし遊んで貰うかなぁ」



慌ててモモを追い出そうとしたあたしの腕から、ひょいっと抱き上げるとおっきな手でなで始めた。



「…すごい……」



「なにがだぁ?取り合えず花乃ちゃんも入りな」



知花さまに言われて、思わず素直に入ってしまったのは、モモが喉をゴロゴロ鳴らしていたから。

でも、部屋に入った途端に眼鏡は取り上げられてまった。



「ぁ…」



「ところで、何がすごいんだぁ?」



「…返してください……」



だて眼鏡は電気の傘の上に置かれてしまっていて、あたしの身長では取ることが出来ない。



「なぁにが、すごいんだ?」



返してくれる気は無いらしい…



「…モモは、あたしと桜ちゃんにしかなつかないから……」


あたしも、桜ちゃんも居ない時は武さんからごはんを貰っていたらしいけれど、撫でさせることは無かったらしい。



「ふぅん、素直でいい子だけどなぁ?」



ゴロゴロと喉を鳴らすモモは、気持ち良さそうに目を細めていて今にも寝てしまいそうだ。






なんだか………モモまで取られたみたい……