花色の月


「ククッ、花乃のお腹は素直ですね」


なんか…前にも同じ事があった気がする…

恥ずかしいお腹を押さえながら、上がり框に腰を下ろすと、まだ肩を震わせている那月さんに恨めしい視線を送った。

直ぐに出来上がったごはんを、丸いちゃぶ台に運ぶ手伝いをする。…これしかしてないんだけど……



「今日はイメージ通り和食ですよ」


「お釜で炊いたごはんって美味しい!」


「おやおや、一番にごはんですか?
まぁ、おかずは手抜きですけどね」


手抜きだなんて、鮭の味噌漬けもいいお味。
ごはんが進んじゃう!

この鮭も那月さんがとってさばいて、味噌漬けにしたんだそうだ。那月さんと一緒に居たら、無人島でも生きていけそう…

糠漬けとお味噌汁も美味しくて、那月さんのごはんならいくらでも食べれそう。

とは言え、パクパク食べたらお腹は直ぐにいっぱいになってしまった。


「お腹いっぱ~い、ごちそうさまでした!」


「フフッ、花乃のお腹はちっちゃいですね」


那月さんの草履を履いて、食器を持つと土間に下りて流しに運ぶ。

洗い物くらいしないとね。

カチャカチャ洗っていると、後ろから那月さんが近寄ってくる気配がした。

カタンと流しに置かれた食器を洗っていくと、あたしの肩に那月さんの腕が回される。