「那月さん……あたしを突き放すなら、今だと思う…よ?」
「何故、私が花乃を突き放さなければいけないんです?決してそんな事はしませんよ」
髪の先から水滴が、ポタポタと足元に落ちていく。
それを目で追いながら、ここで本当に突き放されたら、自分はどんな行動に出るんだろうと、少し他人事のように考えていた。
「花乃……風邪を引いてしまいます」
心配そうに少し身を屈めると、あたしの顔に掛かる髪を長い指でかき上げた。
そのまま濡れた頬を滑る指は、雨と涙の区別がつくんだろうか…
つかなくていい、これはみんな雨粒だ。
不意に、有無を言わさぬ強さであたしを抱きかかえるとお風呂場に向けて歩きだした。
「ぁ…あの……」
「おろしませんよ」
そのまま脱衣場を通り越して、一気にお風呂場にあたしを連れていくと、ずぶ濡れの服を着たまま湯船に浸かった。
「えっと…那月さん……?」
「ちゃんと話しをしたいんでしょう?
ですが…花乃が目の前で裸になっていては、理性が飛ばない自信は無いので」
それに、ぼやぼやしていたら濡れて夜風に当たった体が冷えてしまいますから、と困ったように微笑んでみせた。
…それにしても、強行手段に出ましたね?
