お母さんのお墓のある小高い墓地まで、ゆっくりと登っていく。
足元を照らすのは、夜空に浮かぶ真ん丸のお月さま。
一日の仕事を終えてから、布団を恋しがる体を追いたててまで来た理由は、心に広がる黒い物をどうにも出来なかったからだ。
上を見上げると、夜風に揺れる梢の向こうに、お月さまが見えた。
『花乃、ミミは今お月さまに居るのよ。
お月さまから、花乃の事を見守っててくれてるわ』
あれは……まだあたしが小さかった頃。
うさぎのミミが、金網を破って小屋に入った狐に噛まれて、急いで駆け付けた武さんの手のひらの上で息を引き取った時の事。
泣きじゃくるあたしに、お母さんは今日みたいな真ん丸のお月さまを指差して、ミミはこれからお月さまでお餅をつくのだと言った。
『お母さんも、いつかお月さまの上から花乃を見守る日が来るでしょうから、そしたらミミを花乃の代わりに沢山撫でてあげるわね』
一緒にいた武さんがとてもとても悲しそうな顔をした理由が、その時のあたしには分からなかった。
