花色の月


「あーっ!!いけ好かんと思っとったけど、これは想像以上やわ!」


「…今日は厄日かも……」


小野先輩だけでも始末が悪いって言うのに、もっと強敵が現れるなんて。

ラスボスを倒そうと思ったら、後ろにもっと強いのが居たって感じかなぁ…



「てか、その女はなんで来たん?
如月さんが目的じゃないん?」


「それは…無いんじゃないかなぁ?
那月さんがこの側で陶芸やってるなんて知らない筈だし……」


「分からんよ?調べれば分からん事ないと思うし、お気に入りやったんやろ?」


「でも…縁が切れた理由は彼女が都会に出たからだし……今だって小野先輩と来てるし」


「そんな女やったら、堂々と男連れで来てもおかしくないやん!それに何だか謀ったようなタイミングが薄気味悪いわぁ」



薄気味悪い…

分からなくもない。だって、あのお店でたまたま会った事だけなら、偶然で片付けられるけれど、すぐ後にここに来たのは何なんだろう。

もう、あの時点から計算だっだんじゃないかなって思えてしまう。

だって、こっちが地元とは言え、今はこっちに住んでいないんだもん。



なんか怖いな…

直ぐに臆病風に吹かれる自分に苦笑しながら、廊下から突っ掛けを履いて表に出た。

もう着物姿では少し暑いけれど、時たま吹く風はまだヒンヤリと心地いい。

まぁ、山だし基本的に真夏もそこまで暑くならないんだけど……


フワリと山から降りてきた風が、優しくあたしの頬を撫でていった。





そろそろお母さんの命日だ。