花色の月


「あっ、明美ちゃん!あの……」


「だぁーっ!!あんの女いけ好かんわぁ!!」


板場を出た所でばったり明美ちゃんにあった。

でも、話しかけた途端ちょっと大きすぎる声で叫ばれて、慌てて明美ちゃんの口を塞いでから聞いてみる。


「…女?」


「ふぐっ!」


「あっ、ちょっと音量落としてね?」


「女!!藤の間に連れが来たんやけど、これがまた嫌な女やねん!」


シーシーっと人差し指を唇に当てるあたしを見て、一回深々と深呼吸をすると少し落ち着いた声で話し始めた。


「なんかな?態度もやねんけど、ガバッと開いた胸元もムカツクねん。なんやこっちの胸見て鼻で笑いよるしな?デカけりゃ良いってもんでもないわ!って怒鳴りたかってんけど、それは何とか押さえといたんやで?」


早口で捲し立てる明美ちゃんの肩をポンポンしながら、思わず自分の胸に視線を落としてしまった。


「…明美ちゃんはちっちゃく無いじゃん」


「まぁ、花乃よりはあるで?
でも、あのホルスタイン程は無いねん」


ほ、ホルスタイン……
なんか会ったら劣等感が刺激されそう…