花色の月


ずっとこうして那月さんと居たいけれど…
人手不足な旅館の、仮にも若女将なあたしはいつまでも油を売ってる訳にはいかない。


「那月さん、ありがとう」


「いいえ、私の大切な花乃を守ることが出来て安心しました。彼にもお礼を言っといて下さいね」


那月さんが帰った後、いつの間にか消えていた光さんにお礼を言おうと板場に向かった。


「武さん、光さん居る…?」


「奥でジャガイモ剥いてっと思いますよ」


武さんの脇をすり抜けて奥を覗いて見ると
、丁度台に隠れるようにして光さんが人参を剥いていた。

…ジャガイモじゃないじゃん……



「光さん、さっきはありがとうございました」


「あっ、いえいえ!一応皆に伝えてあります。
明美が自分が担当するって何だか張り切ってましたよ?」


あっ、じゃあ次は明美ちゃんの所に行かなきゃ…