「すみません!私が花乃から離れなければ…」
「えっ?那月さんは悪くないよ……あたしがドジなだけで…」
いつもの話し方に戻った那月さんに、少しホッとして肩の力が抜けた。
那月さんは、そのままあたしを抱えて近くの公園まで歩いていくつもりみたい。
…人通りが少なくて良かった……
すぐに着いた公園も、さびれていて人影はない。
それでも水のみ場の水道は止まって無くて、黙って足を洗われた。
そんな壊れ物みないに扱わなくていいのにって、言いたくなるくらいそっと洗ってくれる那月さんの手がこそばゆい。
「…すみませんでした」
「だから、なんで那月さんが謝るの?
あたしがちゃんと前向いて歩いてなかったから、こんな事になっただけなのに…」
「私が、ちゃんと花乃と歩いていればこんな事にはならずに済んだんです……
全て私の責任です」
「そんな………
ねぇ、那月さんあたしを見て…?」
だって、さっきから目を合わせないようにしてる…
困ったように下げられた眉に、あたしの顔はもう見たくもないのかと落ち込んだ。
「…さっき……あいつらが大人しく引かなかったら、たぶん半殺しにしてました。
…引きますか?」
「引く?なんで?」
「いや……花乃の知ってる私は、まだ良いところしか見せないようにしてるので……」
「そんな野蛮な一面もあるって事…?」
「…えぇ、まぁ……」
那月さんは、決まり悪げに瞳をうろうろさせている。
そんな那月さんの頬に、そっと触れてみた。
