花色の月


要するに、おばあ様はあたしが那月さんの所に泊まった事を、知っちゃったんでしょ?

ぇ……もしかして帰れそうにない理由も言ったの?


「疲れが溜まってるようで、起こしても起きないんですと言っておきました」


「…良かった……」


「まぁ、笑ってらっしゃいましたから、理由はバレてると思いますけど」


良くないっ!!
また武さんにお赤飯攻撃されるじゃないのっ!

枕に顔を埋めてため息をつくあたしの脇で、那月さんはクスクス笑っている。

…もうーっ笑い事じゃないんだからっ!

どうも、那月さんには羞恥心と言うものが欠けている気がする。

…今更だけど……



「ゆっくりしてて下さい。
花乃が起き上がれるようになったら、折角のお休みなんですから、買い物にでも行きましょう」


…それは楽しみだけど……
人手が足りてないって言うのに、こんな理由で休み貰って買い物に行って良いものだろうか…


「あっ、因みに……
キャンセルも入ってちょっと暇になったから、遠慮なく休みを満喫するようにとの事でした。明日は明美さんがお休みらしいですよ」


あら……キャンセルかぁ…

残念なお知らせな筈なのに、ちょっとホッとしてしまった不謹慎なあたし。


「花乃、いい加減にこちらを向いてくれませんか?
花乃の可愛い顔を枕に独占されるのは頂けません。そんなに気に入りましたか?」