花色の月


「仕事の時だって、もう少しフワッと可愛く結えばいんじゃねぇか?」


知花さまは、まだあたしの髪をふわふわと触っている。



「そうそう、
そしてもう少し色気を学んでも良いよね?こんなだけど年頃なんだからさ」



年頃の女の子のお風呂に乱入したのは誰でしたっけ…

あれ?あたしって何でここに来たんだっけ?



「ぁ…おばあ様が、桜ちゃんを探してて……」



「あぁ、さっき会ったから大丈夫だよ」



そっか……
それなら、そろそろ戻りたいんだけれど…

眼鏡返して欲しいなぁ…




「よし、じゃあ外す練習するか。
これから俺の前では眼鏡禁止なぁ?」



「……ぇ…?」




「てか眼鏡ねぇとしゃべんねぇなぁ…
固い言葉も出ねぇのか?」



ど、どうしよぉ…

話さなきゃって思うのに、なんだか言葉が出て来なくて、涙が出てきそうになる。

遅くなっても良いから私服から着替えてくれば良かったんだ……