花色の月


食器を二人で洗いながら考える。

…あたし、お泊まりするのはお互いの気持ちを確かめ合った日以来なんだよね…

しかも、泊まるとは思ってなかったから着替えも何も無いんだけど……


「花乃、お風呂入りましょうか」


「…?」


なんか、一緒に入ろうって言われてるような気がするけど気のせいだよね?

井戸の水を汲んで洗った食器を、手拭いで拭きながら首を傾げた。

如月窯の所までは、水道も電気も一応来ているのに、那月さんはあんまり使わないらしい…



「花乃、現実逃避しないでもらって良いですか?」


「えっと、お風呂……」


「先に入って下さいね。
花乃がお湯に浸かったら、私が入りますから」


「えぇっ!?」


「拒否権は有りませんから」


な、無いの?

那月さんは、涼しい顔でサッサと奧に行ってしまった。

後を着いていきながら、うつ向いて一番不安要素である胸を眺める。

…でも、もうバレてるよねぇ……
バレてるとは思うけど、やっぱりちょっと抵抗が…

お湯に入ってれば見えないかな?


「花乃、私が先に入った方が良ければそうしますよ?」


「い、今行きます!」


それは流石に無理っ!
だって、あたしが体を洗う間、お湯のベール無しで見られちゃうって事でしょ?



「花乃がそんなに恥ずかしがるとは思いませんでした」


「……コンプレックスは誰しもあるでしょ」


「あぁ、安心してください。
私は十夢と違って大きさは気にしませんから」


…知花さま……には、確かに貧相だって言われましたけど。

あたしだって、無い訳じゃないもん!
あんまり大きく無いだけで……