「ちゃんと考えたら分かるのにね?
花乃は、僕の事が大好きなんだから」
「まぁ、二番目にですけどね」
…なぁんで、ここで現れるかな?
音もなく花乃の隣に座った那月は、花乃の頬に手を添えて顔を寄せた。
「な、なにしてんだよ!人前で!」
「熱を測ってただけですよ。
何をしてると思ったんですか?…やらしい」
おい!最後の聞こえてるからね!
てか、絶対今勘違いするようにやっただろ!
まったくこいつは性格が悪い……
「大丈夫みたいですね。
まぁ、今日は宴以外はゆっくりしてましょう」
「うん……那月さんも出る?」
「宴にですか?そうですね、花乃の頭が痛まないようでしたら……歌いますか?」
「うん、たぶん大丈夫。
フフッ、でもね知花さまの手が当たった時は、頭がもげた気がしたの」
「もしそんな事が起こったら、私が奴の頭をもいでやらねばいけませんね?」
…やっと花乃が笑った。
悔しいけど、兄貴は兄貴として一歩さがって見守るしかないみたいだ。
一応十夢も、当たる寸前に止めようとしたからか、そこまで酷くはないらしい。
倒れたのは、どちらかと言うと疲労と精神的ショックが原因だろうって事だった。
だから十夢は命拾いしたんだと思う。
花乃を溺愛しているこいつが、十夢を殺らないでくれて本当に良かった。
…僕の余命は怪しいけど……
