花色の月


「花乃、ちょっと部屋にいらっしゃい」


おばあ様の表情から、桜ちゃんの事だと分かる。

ともすれば色惚けしそうな頭を切り替えて、おばあ様について部屋に入ると襖を閉めた。


「急ですけどね、知花さまと桜介は明日立つ事になりました」


「あ、明日!?」


「えぇ、知花さま曰く気掛かりな事が上手く進んだからですって」


…それは、あたしの事でしょうか…
このタイミングでは、それ以外に考えられないもの。


「花乃、良かったですね。 如月の方ならなんの障害もありませんよ」


「お、おばあ様!?」


「まぁ、月守に婿に入って貰う事になるでしょうが…
あら、気が早かったわね」


えぇ、早いですとも!
なんたって、つい昨日お互いの気持ちを確認したって言うのに…


「ですが、色惚けして仕事を疎かにするようでは、私にも考えが有りますからね?
しゃんとなさい」


「はい」


どっちかと言うと、力を貰った感じだもん。
今まで以上に頑張れるに違いない。
…と、思いたい。


「じゃあ、今日は送別会…?」


「そうね、今ごろ武はお赤飯を炊いてますよ」


…お赤飯は、桜ちゃんの為……だよね?
嫌な予感は心の中にしまい込むと、朝食のお運びに向かった。