「花乃おはよー!」
「おはよう。明美ちゃんはいつも元気だね」
あの後、那月さんとぽつりぽつりとお喋りをして、睡魔に負けて少し眠ると朝になっていた。
急いで帰ってきて、身支度をして朝の掃除をしていると、やっぱり同じように掃除をしていた明美ちゃんに挨拶をする。
「花乃は、幸せオーラめっちゃ出てるやん!
昨日行ったんやな、愛しの君の所に!」
あぁ、明美ちゃんが噂話に目をキラキラさせるおばちゃんに見えてきた。
言ったら恐ろしいから心の中で留めておくけれど。
「なっちゃんは優しかったかぁ?」
下世話な人がもう一人。
あたしが返事をするよりも早く、後ろから知花さまが声を掛けてきた。
「たぶん…ご期待には添えてないと思うけど。
優しかったですよ?」
だって、朝まで那月さんに腕枕してもらってただけなんだから。
ニヤニヤ笑う人がこれ以上増えないように、そそくさと雑巾を絞って退散した。
ふぅ…危ない危ない。
「花乃、那月が悪さしたら言ってよね?
投げ飛ばしに行ってあげるから」
……桜ちゃんも居たんだね…
なんでみんなが知っているのか分からなくて、頷くだけ頷くと走ってその場を後にした。
「花乃!浮かれてるからって廊下を走るものでは有りませんよ」
「仕方ないですよ。これくらいは許してあげましょうや」
おばあ様と武さんまで……
なんで裏口からこっそり出て、朝もこっそり帰って来たのにみんな知ってるの?
朝からやたらと疲れるスタートになってしまった…
静かに楓ちゃんと過ごせているだろう那月さんを、少々恨めしく思ったのは仕方がないと思う。
