花色の月


「私は、桜介のように綺麗じゃありませんし、十夢のように頼りがいもないと思います」


それでも私で良いんですか?
真剣に見つめてくれる那月さんの瞳にも、あたしと同じように不安が見てとれた。



「那月さんは綺麗ですよ…?
初めて見たときこの世の者じゃ無いんじゃないかって、思っちゃったくらい。
それに……知花さまは頼りになりません。桜ちゃん居なかったら脱け殻みたいになっちゃうもの」


ちょっと検討違いな返事だったかな?と思ったけれど、妙に力説してしまった。
知花さまヘタレ説を…


「えっとですね…
見かけって言うよりは、中身のつもりで言ったんですけどね…」


やっぱり困った顔をして、髪をかき上げる那月さんにしっかりと言おうと思った。


「あたしも、桜ちゃんみたいに綺麗じゃあないもの……初めての男なんて、どうしようもない奴だったし…?」


そんな、あたしでも良いんですか?

つぶやくように言った時は、もう顔を見ることも出来なくて、ひたすら着流しの合わせ目辺りを睨んでいた。



「そんなに睨んだら、生地に穴が開きますよ?

私は花乃だけを想っています。花乃が安心出来ないなら、毎日でも貴女に囁き続けますよ」