花色の月


涙が溢れないように目を見開いていると、ふわりと目の前が暗くなって、那月さんの甘い香りに包まれた。


「…すみません。花乃が来てくれた事が嬉しくて………冷静を装ってないと、花乃を壊してしまいそうだったんです…」


耳元で聞こえる甘い声は、微かに震えていて、何を思っているか分からなかったのは、必死に冷静を装っていたから何だと納得した。


「あたし、那月さんに会いたかったの…ずっと」


「私も、片時も花乃の事を忘れた事はありません」


「…そんな事言うと、あたし自惚れちゃう…よ?」


「自惚れて下さい」


そう言って、すぅっと息を吸い込むと、あたしの肩を軽く押して離すと、視線を下げて目の中を覗くようにして囁いた。



「もっと早くに伝えるべきでしたね。

私が、身も心も欲しいと願っているのは
花乃、貴女一人です」



それが、どんなに欲しかった言葉だったか…

胸が苦しいのにあったかい。



「那月さんが…すき」


「フフッ……先に言われちゃいましたね。
花乃を、花乃だけを愛しています」



どうしよう、嬉しくても幸せでも涙って出てくるんだ。

涙腺が壊れたようになったあたしを、那月さんは優しく抱き締めてくれた。