花色の月


「ぁ…あの」


「なに?」


そんなすがるような目で見ないでよ。
こんな、自分よりだいぶでかい男に保護欲なんて沸かないよ?


「桜介は、反対しないんですか?」


「花乃の事?反対だよ。
だけどさ、二人がお互いに相手を想っていたら、回りがどう思おうと関係無いんじゃない?」


反対される要素なら、僕と十夢のがよっぽど有るしね。

なんでそんな不安げな目をしてる訳?

会いに行ったんだろ?


「…あなたに、反対されたら……花乃は…」


「あのね、僕は那月だからどうのって言ってるんじゃないからね?
可愛い妹取られそうになったら、ちょっとくらい意地悪したくなるじゃん?」


那月はモテる。
こいつと十夢が並んで町を歩いたら、見てるこっちが呆れるくらい女どもが入れ食いだ。

でも、ちょっと人と違うってのが、こいつの中では大きくて、本気で人に惚れて向き合おうとした事は一回も無い筈だ。

…花乃に会うまでは無かった筈。


「僕らのが、よっぽど世の中からは爪弾きにされる存在なんだけどね。
それに、花乃が言ったの?霊感あるなんて頭おかしいの?とか、気持ち悪いとか」


「いいえ!」


「なら問題無いじゃん。
それより、疲れても誰にも愚痴らないで、ひたすら頑張ってる花乃が僕は心配だよ」


こいつって、こんなヘタレだったっけ?
いつも落ち着いていて、飄々と世の中を眺めているみたいな印象があったけれど、花乃の事になると馬鹿みたいに狼狽えるんだ。