「うわぁ、ここに来るの久しぶりだ。変わんないね」
「おかえりなさい。わざわざここまで来て言いたい事はそれですか?」
その見透かすみたいな目が苦手なんだよね。
一応帰ったと報告に如月窯に来ていた。
十夢は、向こうの方でお茶を淹れている。
少しだけ直った機嫌は何によるものだろう…
僕の首筋に咲く、赤い印じゃないと思いたい……
「花乃が吹っ切れたのって那月のおかげ?
でも、僕がなんとかしてあげたかったって思うのは、僕のエゴかな」
「私は大した事はしてませんよ。花乃が自分で頑張ったんです。エゴかって言われたら、そうかもしれませんね?」
「…ふん、言ってくれるじゃん」
「仕方ないんですよ。
桜介には出来なかったと思いますよ?心の何処かでは、自分だけを信じている妹をそのまま可愛い可愛いと愛でていたかったんですから」
「なんかお前ってムカつく。
それにしても…相変わらず丁寧にキツイ奴…」
「お褒めに与り光栄です。」
「ほめてねーけどね」
二人の視線が火花を散らしそうになった時、湯飲みを持った十夢が声を掛けた。
「まぁまぁ、落ち着けって。
なぁんで直ぐ喧嘩するかなぁ?」
「間違いなく、あなたのせいですね。今回は花乃も絡んでいますけど」
「そうだね」
「俺~?いやいや関係ねぇだろ!」
笑いながら言うこいつは、昔っからそこには気付かない。
鋭いんだか、鈍感なんだか分からない奴。
「仕方ないんですよ。私はブラコンみたいなものですし、桜介は十夢にぞっこんですから」
「…は…ぁ?」
間抜けな十夢の顔を見て、クスリと笑う那月も何だか吹っ切れたように見える。
お互いに背中を押し合えるなら、いいんじゃないかな?
まぁ、花乃はまだあげないけどね。
