花色の月


「誰のせいだと思ってんだぁ?」


「ん?僕…ンッ」



いきなり抱き寄せたかと思ったら、噛み付くような口付けが降ってくる。



「…苦い」


「誰かさんの性で、すっかりヘビースモーカーに逆戻りだ」


「僕のせい?」


「他に誰がいる。口寂しさを他のもので埋めなかった事は、誉めてほしい位だけどなぁ?」


「…ほんとに?」


「そこを疑うかぁ?」



僕の髪を撫でながらため息をつく十夢の、やつれて影の落ちた表情が妙に色っぽい。

痩せている筈なのに、抱き締められた時の十夢の体は、前より固いような……



「だって、山ほど前科あるしね?
花乃にもチューしなかった?」


「してねぇよ。…それに、そんな事したらなっちゃんにぶっ殺されちまう……」



えっ?なんでそこで那月が出てくるの?

気を使ってか、人が居なくなったのを良いことに、十夢はついばむようなキスを繰り返す。



「…那月に……?あの二人面識あったっけ?」


「なっちゃんは珍しくヘタレだし、花乃ちゃんは自分に自信ねぇし、焦れったい限りだけどなぁ?」


「…那月め、許さん」


「桜介キャラ壊れてねぇかぁ?
なっちゃんはマジで惚れてるよ」


「十夢並みに遊んでたあいつが?」


「俺もなっちゃんも、今は遊んでねぇよ」


「でも…あんな奴に花乃が……やっぱりダメだろ!投げ飛ばして来る!」


「まぁまぁ落ち着けって、それよりそろそろ女将さん所に行かなくて良いのかぁ?」


「…いくない」



ばあちゃんまで気を使って居なくなっているけれど、やっぱり怒られて来なきゃいけないよね…