花色の月


「しかも生死も分かんねぇ」


「…うん」


知花さまの前で、しょんぼりしている桜ちゃんは、あたしが言うのも何だけど守ってあげたくなる感じだ。

まぁ…桜ちゃんは、柔道黒帯だし?
何から守るんだって感じだけど。


「もうあんな思いをするのはごめんだ。今度消えるなら、俺を殺していけ」


「…馬鹿」


「じゃあ、俺が殺してやる。心中だなぁ」


「いいよ。もう離れないから
…十夢が嫌がっても離れてやんないよ?」


「離れようとすんのは、いつもお前だろうが。今度離れる時は死ぬ覚悟しとけよぉ?」


「何だか、今日の十夢は物騒だね?」



…確かに物騒だ。
心の中で頷くあたしの着物の袂を、明美ちゃんに引っ張られた。

邪魔者は消えましょうって事だよね?
明美ちゃんに着いていくあたしの目に、移ったのは……


先ほどの泣きそうな瞳はどこへ行ったのか、からかいを含んだ瞳で知花さまを見上げる桜ちゃんだった。