花色の月


「お二人が居ないって泣いちゃってましたよ?」


「ごめんね~?るぅちゃん」


今度は大澤さんのお腹に抱き付いている。

そっと髪をすく手は優しくて、見下ろす瞳からは愛しいと言う思いが、惜し気もなく溢れている。


…なんか憧れてしまう。

あたしもいつか…
なんて妄想してしまいそうになるじゃない。



「さぁて、昨日は結局サボっちまったからなぁ。
今日は頑張りますか」


「てか、桜介居ないと静かだね~?」


「そうかぁ?あんまうるせぇ奴じゃねぇと思うけどな」


「桜介がって言うか、十夢が静かってか沈んでる~?」


「…わざわざ言わなくても分かってるよ」


知花さまは愛される人なんだと思う。

桜ちゃんは勿論だけど、大澤さんと瑠璃ちゃんだって心配だからって、こんな山奥まで来てくれたし、那月さんだって………

…那月さん……



「花乃ちゃーん!戻っておいで」

考え込んでいて、呼ばれて顔を上げるとあまりにも近い知花さまの顔に驚いた。


「ぁ…すみません」


「飯、持ってきてくれたんだろぉ?」


「あっ!冷めちゃう」


「よし、朝飯食って、瑠璃はシャワーでも浴びてこい」


…湯船に浸かったらのぼせちゃうもんね。

知花さまについて大澤さんと瑠璃ちゃんも部屋に戻るようだ。

ごはんを放置した事を武さんに怒られるかな、とか考えながらあたしも後について行った。