朝ごはんのお膳を持って、大澤さん達の泊まる桜の間の前で声を掛けた。
スパーンッ!
おおっとー?
あんまり激しく開くもんだから、膝をついて返事を待っていたのに、仰け反ってお膳をひっくり返すところだった。
「瑠璃ちゃん…?どうしました?」
「か、翔くんも…十夢さんも居ないの……」
半泣きで真剣に言うのは、どうもまだ起きたばかりらしい瑠璃ちゃん。
浴衣の合わせ目を整えてあげながら、とかしてはいなさそうだけれどサラサラの頭を撫でた。
…てか、ずるい。
こんなちっちゃいのに確実にあたしより大きな胸が…
そんな私情は微笑みの奥に隠して、なだめるように話しかけた。
「すぐ呼んで来ますから、ちょっと待ってて下さいね?」
さっき湯上がりの二人と擦れ違ったから、行く先は大体分かる。
「…一緒に…行っても……?」
「良いですよ?行きましょう」
取り合えず、お膳は部屋の中に入れて置こうかな…
お膳を入れて、瑠璃ちゃんと廊下を歩いて行くと、向こうから二人が歩いて来た。
あたしの隣をしょんぼり歩いていた瑠璃ちゃんは、その人影を見付けた途端、浴衣の裾があられもない事になるのも構わずに走っていってしまった。
「おわっ!? 」
抱き付かれたのは知花さまで、大澤さんは不満げだ。
「どーしたぁ?怖い夢でも見たのかぁ?」
「…なぁんで僕じゃなくて、十夢なのさ~」
優しく瑠璃ちゃんの髪を撫でる知花さまと、口を尖らせた大澤さん。
