花色の月


結局、那月さんはその後姿を見せなかった。



瑠璃ちゃんと大澤さんは、知花さまも合わせて川の字で寝ることにしたらしい。

…瑠璃ちゃんが、って言うのが正しいかも知れないけど。



「お疲れさん、花乃の武勇伝目の前で見れんかったのは残念やったなぁ」


「ありがとう、フフッ情けない姿を見られなくて良かった」


やっと明日には自室に戻れる。

でも、明美ちゃんとの二人部屋も何だか名残惜しくて、二人で細やかな打ち上げ中。


「あっ、そうや。
あの、ちっこい子大丈夫やった?湯船で真っ赤になってんの引き上げたんやけど」


あぁ、瑠璃ちゃんを救出したのは、明美ちゃんだったんだね。


「うん、大澤さんに怒られてたけど…」


「あのイケメン君やな?
溺愛っぷりがヤバかったわぁ」


確かに溺愛ってのがピッタリだ。
あれが、守ってあげたい女の子ってやつなんだと思う。


「桜ちゃんが、ポケットに入れときたいって言ってたんだけど……納得しちゃった」


「あぁ、確かにそんな感じやったね。
あんなペット欲しいわぁ」


…誰の印象も似たような感じなんだね。

溢れんばかりの愛情を注がれて、素直にすくすく育つとあんな子になるのかな?

身長はすくすく育たなかったみたいだけど、それがマスコットみたいで可愛いんだよね…


「花乃も守ってやりたなるけど、上には上がいるもんやなぁ」


「……?」


意味が分からなくて首を傾げると、そんなあたしを見て何だかあきれたように続けた。


「たぶん、その無自覚な不安定さが誘うんやろうな」


……どうしよう、明美ちゃんの言ってる事が分からない…