花色の月


「ほわ~……」


「長湯はしちゃダメだって、あれだけ言ったでしょ~?」


…例のごとく瑠璃はのぼせたらしい。

頭にフルーツ牛乳の瓶を当てながら、翔に手を引かれてフワフワ歩いてくる。


「あっ…十夢さんだぁ!あのね翔くんが怒るの…」


そりゃあ居るって、そんなに嬉しそうにされたら俺だってギュッとしたくなるぞ?
…そこの怖いのが居なければ。


「だってさぁ、何度も入る前に言っといたんだよ~?」


「…諦めるんだな」


ため息をつく翔から離れて、のぼせた勢いでか花乃ちゃんに抱き付いてる瑠璃を眺めた。

よしよしと頭を撫でる姿は、またまた桜介と被ってしまう。

…俺の禁断症状も限界か?


「てかさ、桜介帰ってきたら一旦はトム・ソーヤに戻ってよ~?かなり職場放棄して長いんだからさ、オーナー」


「お前と瑠璃が居たら十分だろぉ?」


「そーでも無いんだよね、癪だけど。るぅちゃんの元気も無くなるしさ~」


「十夢さ~ん」


嬉しそうに近寄ってきた瑠璃は、また俺の服の裾を握って座り込んだ。

かなりシワになってんだが…これは言えねぇよなぁ?


「瑠璃、今日は俺と寝るかぁ?」


「うん!」


…そこは素直に答えちゃダメだろうが。
翔が般若になってるぞ?


「何されても文句言うなよぉ?
なんせ、俺は欲求不満状態だからなぁ?」


「ふぇ?」


「るぅちゃんを、こんな野獣と寝かせられるか!
てか調子に乗ってんじゃねぇぞ、おっさん」


翔の頭に角が見えんのは幻覚か?


「おっさんって…大して変わんねぇだろぉ?
…瑠璃」


「ん?」


名前を呼んで腕を広げれば、なんの抵抗もなくストンと収まってしまう瑠璃にも問題は有りそうだが…