花色の月


「一応、人ですよ」


困ったように微笑む姿を見て、自分の浅はかな思いを後悔した。

多分、那月さんはそんな言葉で迫害された事があると、話を聞いていて思ったのに…


「あぁ、誤解しないで下さいね?
私は傷付いてはいませんよ?」


「で、でも……」


「花乃は私の事を気持ち悪いとか、距離を置きたいって思っていた訳では無いですよね?
その、他意のない思いは伝わってきました」


そう言って微笑む姿は嘘を付いてるようには見えなくて、あたしもそんなつもりで思った訳じゃ無かったから少しだけホッとした。


「あと、今のは花乃が呟いてましたからね?
勝手に視た訳じゃないですよ」


「えぇ!?言ってました?」


「俺にも聞こえたから確かだなぁ」


あっ、まだ居たんですね。
てか、ここ知花さまの部屋の前だった。


「…花乃ちゃん、今の心の声は俺でも聞こえたんだけどなぁ?」


「気の性じゃない?」


「…なっちゃんにしろ花乃ちゃんにしろ、俺の扱いが酷いと思うんだけどなぁ……」


それは気の性では無いですね。

その大岐な図体で、いじけたように畳の縁をつつかれても……


「気持ち悪いです」


那月さんに同感です。