花色の月


「…よかったぁ」


安堵のため息を吐く知花さまの背中で、そんなにも心配してくれていたんだと申し訳なくなった。


「すみません…」


「なんで花乃ちゃんが謝んだぁ?悪いのは俺だろう」


「本当ですよ。女の子に火傷させるなんて最低です。
それと嫉妬に狂って意地悪を言うとか、大人げな過ぎます」


「な、なんで…なっちゃんが知ってんだぁ……?」


「あなたが私に隠し事を出来たためしがありますか?」



…那月さんと、知花さまってどんな関係なんでしょう?
桜ちゃんが焼きもち妬くよ?



「まぁ、なっちゃんの秘密も筒抜けだけどなぁ?
この歳で初こ…グッ」


知花さまが何を言いかけたのかは分からなかったけれど、あたしをおぶってて前ががら空きなのを良いことに

那月さんが拳を叩き込んだ事はよく分かった……



「あの……落っこちたくないです」


「大丈夫ですよ。この筋肉馬鹿にはこの程度は効きませんから」


「…けっこう効いたぞ?
てか…花乃ちゃん俺の心配はしてくれねぇのかぁ?」


「ダイジョウブデスカ」


「棒読みし過ぎだろ!片言か!」


ベシッ

「うるさいですねぇ、少しは黙っていられませんか?」


那月さんの手が、あたしの目の前で知花さまの頭に振り下ろされた。

ちょっと…可哀想かも……