花色の月


でも、その子も辛かったんだろうと思う。
あたしと一緒にいるだけで、永野絵里のグループからいじめの標的にされたんだから。

生き残るために、彼女があたしを切り捨てたんだとしても、責めることは出来ない。



高校も持ち上がりで、暗黒の三年間を過ごした。


死にたいなんて言っても、本当は死ぬ勇気も無くいくつかの躊躇いを作っただけ。

あたしが弱いって証の傷は、今もうっすら残っている。



誰もあたしの事を知らない大学に行けば、変われるかも知れないと思った。

でも、中学と高校の六年間で人とのコミュニケーションの取り方を忘れてしまったあたしは、やっぱり隅っこにいるしかなくて

時たま寄ってくるのは、身体目当ての男ばかりだった。

要するに、暗くて仲間はずれにされているお前と、一緒に居てやるんだから身体を差し出せって事。

そんな男でも、一人になるよりはいいと差し出していたあたしは大馬鹿だ。




「花乃、確かに馬鹿だと思いますよ。
でも、そこまで追い込まれていたと言う事でしょう?」


そんな事は無いと言い、同情の目で見られるのかと思った。

だから馬鹿だと断言して、それでも優しい瞳で見つめてくれる那月さんに、また甘えたくなってしまう。


「心の内を雪乃さんには話したんですか?」


「ぇ…?」


「帰ってきてから、一度も雪乃さんの所へ行って無いでしょう?」



なんで知ってるの?

そう、帰ってきてから一度もお母さんのお墓には行っていない。

最後に約束した事すら守れないあたしには、お母さんの所へ行く権利は無いような気がしたから…