「なら…もっと早く来いよぉ……
なっちゃん来ないから…てっきり……」
「ですから、直ぐに私に連絡してくれば良いんですよ。それに、なんで私からあなたに連絡をしなければいけないんですか。
第一あなたも知ってるでしょう?うちにはテレビもラジオも無いんです」
なんの話をしているのか、あたしには良く分からないんですけど…
一気に喋った那月さんは、少し困ったように眉を寄せると、何故か不安げに口を開いた。
「…花乃……聞いてくれますか?」
「あっ、俺一服してくるわ。
ついでに武さんに怒られてくるかなぁ」
煙草を吸う仕草をした知花さまは、布団から立ち上がる時に少しふらついた。
「あ、あの…」
「鈍ってるだけだから、花乃ちゃんは気にすんなよぉ?それより、なっちゃんの話を聞いてやって」
支えようと手を出したあたしに、そう言って苦笑いすると煙草といつものジッポを手に部屋を出ていった。
まぁ、あたしな知花さまを支えるなんて、物理的に無理だろうけど…
知花さまが部屋を出て行っても黙ったままの那月さんに向き直ると、やはり思い詰めたように綺麗な顔を曇らせている。
「那月さん…?」
「もし、私の話を聞いて気持ち悪いとか頭がおかしいとか思ったら、遠慮なく距離を取って頂いて結構です」
そんなことは無いと言うのは簡単だ。
でも、聞いてもいないのにそう言うのは無責任だと思ったあたしは、黙って那月さんを見詰めていた。
