花色の月

着信履歴は…

大澤 翔
大澤 翔
大澤 翔
立花 瑠璃
大澤 翔
大澤 翔
大澤 翔
………………


全部は見ていないけど、ほとんどが翔さんって人からの物みたい。

…カフェを一緒にしている人、だっけ…?


不意に手の中で震えた事に驚くと、またも着信で『大澤 翔』と表示されている。



「……と、取りますね!」


一応断りを入れて、通話にと震える指で画面に触れた。 



『十夢てめぇっ!!』


お、怒ってらっしゃる!
そりゃあこれだけ掛けてればそうなると思うけれど…


「あっ、あの…あたし月守 花乃と申します!」


『あれ?月守……桜介の妹~?』


知花さまではないと分かった途端柔らかくなった話し方?、にホッと息を吐きながら返事をした。


「桜…介の従妹です。
勝手に取ってしまって申し訳ありません……あの、知花さまは…」


『あ~…従妹ね聞いたかも。
どーせ、ふて寝してんでしょ~?』



はい、そうです。って言っていいんだろうか…
言い淀んでいると、苦笑したような気配を電話の向こうに感じた。


『あのさ、直接ぶん殴りに行くから部屋の予約出来るかな~?二人なんだけど…』


「は、はい!かしこまりました…」


『出来れば十夢の居る部屋と近いと有りがたいな。じゃあ今日の夕方頃行くね~?』


「はい、お迎えにあがりますので…」


『あぁ、るぅちゃーん着くの何時だっけ?
ん?あー…うん、ありがと~。

5時半に着く予定』


電話口の向こうで女の子の声がして、時間を教えてくれた。

たぶん彼女が立花瑠璃なんだろう…
あの写真の真ん中にいた、可愛らしい女の子。


「はい、ありがとうございます。

あ…あの知花さまを……よろしくお願い致します」


『うん、花乃ちゃんだっけ?
ありがとう電話取ってくれて』


勝手に見てしまって、電話にまで出てしまった罪悪感が、少し軽くなった気がした。


通話を切ると、こぼれそうになる涙を上を向いて堪える。

まだ泣けない、泣いちゃ…いけない……