花色の月


それは悩んでいた。

でも、洗脳されてるおばあ様に伝えたら、たぶん直ぐに永野絵里に伝わってしまう。

だから…黙ってる事にあたしが決めた。



「…言わないでおく」

「…うん」


それだけで、何を思っているか汲んでくれるのは助かる。

あたしだって、おばあ様には伝えたい。

でも、おばあ様と二人で会うのもままならないし、今の現状では難し過ぎる…



「あたし……もう少し頑張ってみようかなって…」

「無理はせんといて欲しいけどなぁ。てか何を?」

「少し…積極的にお客様に話し掛け…れたら良いかなって……無理かなぁ」

「無理って思ったら無理や。せやけどやる気あるならあんな女蹴落としたれ!」


明美ちゃん、なんで夜中なのにそんなに元気なの?

あたしも体力作りに筋トレとかしよっかなぁ。


「何してるん?」

「腹筋…?」

「唐突やなぁ、まぁ花乃は筋肉の前に普通に肉付けたらいいんちゃう?」

「…にく」

「胸にもな。かろうじて…Bってとこやろ?」


むぅ…みんなしてぇ……
ぎりぎりとか、かろうじてとか失礼なっ!
その通りだけどさ……


「明美ちゃん、は…?」

「ほんまに聞きたいん?落ち込まん?」


…落ち込むかも……

結局聞いたけれど、やっぱり自分のささやかな胸を見ながらため息が出てしまった。