花色の月


「永野絵里と言う女。
たぶん、花乃を虐げていた張本人だと思います」


「眼鏡…?」


「えぇ、目障りだと花乃に言っていた相手です。
ですから、余計に花乃は強く出れないのかと思います、刷り込みのような上下関係を感じました」


なっちゃんは…感受性?が人よりかなり鋭いらしい。
だが、それが原因で極力人と直接関わろうとしない。

言ってる事と思っている事の矛盾等、見たくない部分も見えてしまうし、感じてしまうと言う。

…見えない物も、見えるらしい……
ちょっと怖い…


それでも、自然の中にいれば人以外のものは、めったに嘘をつかないから良いそうだ。
たまには付くのか?
ちょっと気になる所だが…


「花乃ちゃんってなんか時折、ふっと物憂げな大人の顔をするよなぁ」


「ふっ、十夢もまだまだですね、あれは傷ついた子どもの顔ですよ。
あなたも、たまにしますよね?」


「…言うねぇ」


まったく、なっちゃんには敵わねぇなぁ…