花色の月


「絵里さん!なんか女将さんが呼んではりましたよぉ」


「…いい加減その喋り方、何とかしなさいよ」


「はぁい、これでも気を付けてるんやけど…堪忍なぁ?」


「どこがよ!
じゃあ、私は行くから、さっさと終わらせなさい!」


突然現れて、嫌みも気にせずあっけらかんと笑うのは…



「あれ?覚えとらん?新人の明美(あけみ)でーす!」


「ぁ…橋口さん、覚えてますよ?」


「やん、明美って呼んでよ!
あんまり好きな名前ちゃうけど」


…着いていけないくらい元気な方です。

でも、こうやって何かと助けてくれるから、すごく助かっている。


「なぁなぁ、今日終わったら少し時間ある?」


「…はい」


「良かったーっ!桜介について聞きたい事あんねん。じゃ、終わったらな~」


よく分からないけど、桜ちゃんとは知り合い何だろうか?たぶん、そうだと思うんだけど…

ちょこちょこ助けてはくれるけれど、面と向かって話したのは今が初めてだ。




今のところ、味方をしてくれてるけれど、この先どうなるかは分からない。

桜ちゃんの事を聞き出したら態度変わるかも知れないし…


良くないって分かっていても、心の中で悪い方に悪い方に考える癖は直りそうにない。

取り合えず、目の前の泥を落とす作業に集中しよう。それにしても…なんでこんなに面倒な事をするだろう……